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ソフトバンク、親子上場の裏にある真の狙いとは?

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ソフトバンクグループの2017年10月~12月期の決算が発表になりました。

それに合わせて日本国内で携帯電話事業を手掛けるソフトバンク株式会社の株式上場の準備を開始する旨のアナウンスがありました。

今回の記事では親会社のソフトバンクグループと区別するために、国内の携帯電話事業を担うソフトバンク株式会社を「ソフトバンクKK」と書くことにします。

(余談になりますが日本の株式会社を英語で略する際に「かぶしき・かいしゃ」の頭文字からKKと記載することは割とよくあります)

プレスリリースによると、

ソフトバンクグループおよびソフトバンクKKは、ソフトバンクKKの株式を上場することにより、グローバルな規模で投資を進めるソフトバンクグループと、グループの通信事業分野において中核企業であるソフトバンクKKの役割と価値を明確に分けることを目指しています。その結果、より分かりやすくグループの事業内容を市場に訴求することが可能となり、多様な投資家ニーズにも対応できるようになると考えています。

という記載があります。(本原稿のほかの記載と合わせるとために、原文のSBGをソフトバンク、SBをソフトバンクKKと変更してあります。)

今日の記事では、一体なぜソフトバンクグループがこのタイミングで携帯事業を担うソフトバンクKKを親子上場の形で公開しようとしているのか? その背景を詳しく探ってみたいと思います。


ソフトバンクグループの主な連結子会社3つ

今回の親子上場の背景を詳しく理解するには、まずソフトバンクグループの連結子会社の現状を把握する必要があります。

はじめにヤフージャパンですが、広告収入は前年同期比で増加してはいるものの、一桁成長にとどまっています。

次にSprintですが、売上が前年同期比で2%のマイナスという具合に過去数年に渡りほぼフラットな売上成長になっています。

一方で営業利益ベースでは黒字転換しており、営業利益率が約10%の水準に達しているのがSprintの現状です。

三つ目にソフトバンクKKですが、決算説明会資料で開示されているのは営業利益のみで、売上にいたっては決算資料にスライドは入っていません。

営業利益を見ると、先行投資がかさんで第3四半期までの累計で6,000億円を超える巨額の利益を生み出している一方で、前年同期比でマイナスになっています。

以上をまとめると、この三つの連結子会社に共通する特徴は以下の二点です。

・売上はフラットもしくは一桁成長
・利益率は高く、毎年安定的に巨額の利益を生み出しているキャッシュカウビジネス


ソフトバンクグループの主な投資先:アリババ

連結対象ではないソフトバンクグループの主な投資先としてアリババが有名です。こちらもおさらいしておきましょう。

このグラフを見れば分かる通り、売上が前年同期比で+56%というとてつもないスピードで成長しているのがアリババです。


ソフトバンクグループの「群戦略」とは?

今回の決算発表の中で「ソフトバンクグループを戦略的持株会社として位置付ける」という明確なメッセージが打ち出されました。

そしてそのための戦略として「群戦略」と呼ばれる戦略が提示されています。

群戦略というのは連結子会社としてグループに取り込むのではなく、20-30%程度の出資をすることで筆頭株主になることは狙うものの、ソフトバンクブランドを押し付けることなく、あくまで独立した会社としてネットワークを広げていくという戦略です。

この群戦略というのは、これまでネット企業が行なってきた「戦略的なパートナーシップ」とは少し発想が異なるものです。

これまでのネット企業の戦略的なパートナーシップというのはGoogleにしてもAppleにしても、日本では楽天が典型的ですが、100%の買収を行いブランド名を親会社のブランドに差し替えるという形でのM&Aが最も成功パターンが多かったと言えるでしょう。

一方で今回のソフトバンクグループの群戦略というのはそれとは全く異なる発想になっています。

今回この群戦略とソフトバンクKKの上場準備が合わせて発表されたことで、持株会社としてのソフトバンクグループの位置付けやソフトバンクKKの親子上場の意図が非常に明確になったのではないかと思います。

以下ではあくまで私見になりますが、その詳細を書いてみたいと思います。

内容的には大企業で戦略的パートナーシップを探る役割を担っている方、コーポレートベンチャーキャピタルなどに従事されている方に役立つ内容になっているのではないかと思います。


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・「群戦略」を構成する2つの企業群とそれぞれへの期待値
・ソフトバンクグループがソフトバンクKKを上場させようとする真の意図

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