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Q:ツイキャス運営のモイが上場。成長に欠かせない2つの要素とは?

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ヒント:ツイキャスを運営するモイの売上の売上と費用の構成には特徴があります。●●機能を強化して売上を伸ばすことと、●●手数料の削減が今後の成長には欠かせません。


この記事はカネコシンジさん(企画・リサーチ担当)とMihoさん(ライティング担当)の共同制作です。

ライブ配信サービス「ツイキャス」を手がけるモイ株式会社が2022年4月27日に上場を予定しています。当該領域には競合サービスも複数存在している中、売上/KPIが大きく成長しています。

記事の前半では、ツイキャスのビジネスモデルや特徴、売上推移について説明しています。記事の後半では今後の成長のためのポイント、類似サービスを提供する他社とのKPI比較をしています。


モイの会社概要

モイの主力事業はライブ配信サービス「ツイキャス」です。ツイキャスはウェブマーケティング支援事業などを行うサイドフィード株式会社(現 Moi Labs 株式会社)の一事業として、2010年にリリースされました。その後、会社分割によりモイ株式会社が設立されました。

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ツイキャスはユーザーが自由に動画、静止画、音声を配信することができるプラットフォームで、特にスマートフォンの普及により成長しました。視聴者は配信者に対してコメントやアイテムを送るなどのコミュニケーションをとることができます。

アイテムとは拍手、クラッカーのように配信を盛り上げるためのものや、配信者の報酬となるものがあります。配信者はこのアイテムの数や配信の閲覧数に応じて報酬を得ることが可能です。

モイはツイキャスの他に、ゲーム実況のライブ配信に特化した「ツイキャスゲームズ」や、アバターSNS「パルミン」、グループSNS「Catly」も運営しています。ツイキャスがオンライン上で幅広いユーザー向けに配信を行うのに対して、パルミンやCatlyは友人同士でコミュニケーションを取るためのSNSという意味合いが強そうです。


ツイキャスのビジネスモデルと特徴

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モイの主力事業であるツイキャスのビジネスモデルを見てみましょう。売上は以下の3種類からなっています。

①ポイント販売売上
②メンバーシップ販売手数料売上
③「キャスマーケット」におけるチケット・コンテンツ販売手数料売上

①のポイント販売売上とは、ユーザーが前述のアイテムを購入するためのポイント購入による売上です。ポイントはツイキャスが無料で付与するものもありますが、それを超えて使用したい場合はユーザーが課金をすることになります。このポイント販売売上が収益の柱となっています。

②のメンバーシップ販売手数料売上とは、視聴者が毎月一定金額を支払って好きな配信者を応援することができるメンバーシップ機能の売上です。つまり配信者のファンクラブのようなものです。こちらは、2020年11月にリリースされた機能です。

③の「キャスマーケット」におけるチケット・コンテンツ販売手数料売上とは、ユーザーが商品売買できるオンラインストアであるキャスマーケットでの売上となります。キャスマーケットでは、有料のツイキャス配信のチケットやデジタルコンテンツが販売されています。

ツイキャスの特徴は、iPhoneが普及し始めるタイミングでライブ配信サービス領域に早く参入し、着実にユーザーの基盤を築いていることです。ユーザーがTwitterやInstagramなどのSNSとツイキャスを連携し、拡散することでリファラルで新規ユーザーを獲得してきました。

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ユーザー獲得と並行して、インフラへの投資も積極的に行っています。著名な配信者によるライブ配信にも耐えうるようにスマートフォン及び遅延対策に特化した独自システムを構築するなど、システムでの強みに投資をしています。

この安定した配信基盤も特徴かつ優位性の一つといえます。特にスマートフォン向けのリアルタイム配信は技術的な開発難易度が高く、多くの開発費用が必要な分野です。


売上推移

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売上推移グラフを見ると、大きな成長を遂げていることがわかります。このグラフから成長率を算出すると、近年の成長率が非常に高かったことも読み取れます。

第6期(2018年1月期):YoY+38%
第7期(2019年1月期):YoY+63%
第8期(2020年1月期):YoY+87%
第9期(2021年1月期):YoY+132%

ライブ配信のプラットフォーム企業は他にも存在するため、モイは積極的な投資を行っており、2021年1月期までは経常利益はほとんど出ていませんでした。

2022年1月期は、第3四半期までの実績となりますが、売上高49.3億円に対して営業利益1.95億円(営業利益率3.9%)となっています。収益を作っていくのはこれからといえるでしょう。


その他の主要KPI

ツイキャスの2021年7月末時点の累計登録ユーザー数は3,360万人に達しています。アクティブユーザー数は公開されていませんが、KPIであるポイント購入者数は82千人となっています。

一般的に課金ユーザーの何倍ものアクティブユーザーがいると推測できます。ちなみに2020年6月のBusiness Insiderの記事によると、当時のMAUは229万人だったそうです。

一方で世界に目を向けると、Amazonが買収したことでも話題となったTwitchの月間MAUは1.4億人です。

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またツイキャスの特筆すべき点として、ユーザー層が挙げられます。ユーザーの62%が女性で多数派なのと、24歳以下が60%を占めるという構成です。

これは若年層にリーチしたい企業にとっては非常に魅力的なプラットフォームです。

目論見書の経営戦略に「既存の事業基盤を生かしたマーケティング支援向けBtoCマッチングプラットフォーム事業の推進」が挙げられています。現状、個人課金型のビジネスモデルであるツイキャスにとって、新たなビジネスの可能性であるといえます。

ここまで、ツイキャスのビジネスモデルと特徴、売上やKPIについて説明しました。

記事の後半では、今後の成長の鍵となる課金チャネルと支払手数料について、収益柱であるポイント販売売上のKPIについて詳しく説明しています。

この記事は、ライブ配信サービスに関心のある方、個人課金型のビジネスモデルに関心のある方、ツイキャスに関心のある方に最適な内容になっています。


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・要素1. ●●●機能の強化
・要素2. ●●●手数料の減額
・ARPPU深堀と他社比較
・まとめ

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