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「鬼滅の刃」の製作委員会は誰?いくら儲かるのか?Netflixがアニメ参入すると....

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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。

この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。


アニメ製作委員会とはどういう仕組みなのか?

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ーー(伊佐山真里)皆さんこんにちは。今日は「鬼滅の刃」のヒットの裏側にどのような会社がいるのか、アニメ業界のビジネスモデルについてシバタさんに聞いてみたいと思います。シバタさんよろしくお願いします。

(シバタナオキ)アニメ系は全く分からないわけではないですが、どちらかというと得意分野ではないので、僕も色々勉強しながら真里さんとディスカッションができればと思います。よろしくお願いします。

ーーまず鬼滅の刃の人気ぶりについておさらいしていきたいと思います。

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週刊少年ジャンプで2016年から連載が開始され、コミックスは22巻まで発行されています。累計発行部数は1億部を突破しています。アニメはコミックス7巻の途中まで放映されていて、今回映画化された無限列車編はコミックスの7~8巻にあたる内容です。

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映画は公開から1カ月余りですが、興行収益は歴代3位で、300億円にも届くかもしれないと言われています。二次産業と呼ばれる、おもちゃ、お菓子やTシャツなど続々商品化されていて、ユニクロもコラボTシャツを発売しています。

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今までも、ワンピースやコナンなど、色々な作品が漫画からアニメ化されています。「アニメ製作委員会」という言葉はなんとなく聞いたことはあるのですが、これはどういう仕組みなのでしょうか。

今回の、コミックスから映画、そしてグッズに至るまで、これは現代のアニメ系のコンテンツビジネスの中で最強の成功パターンだと思います。まずコミックスで売れて、それが映像になり、さらにグッズになり、しかもまだアニメや映画がコミックスの7~8巻分までしか出ていないということは、まだ続編が出てきますよね。

コミックスは累計1億部、映画も興行収入300億円を超えるかもしれないということで、ほぼ全部歴代のTOP3に入ります。非常に大成功されていて、おそらく入念に計画を立てて、当てにいったのでしょう。

アニメ製作委員会とは何なのかという話ですが、これはいわゆる「プロジェクトファイナンスの仕組み」だと思っていただくのがよいでしょう。当然アニメや映画を作るのにはお金がかかります。そのお金を誰かが払わなくてはいけません。それを払うために、最初に出資をする人たちのことを製作委員会と読んでいます。

作ったアニメ・映画が当たれば、その人たちは大きなリターンを得られますし、当たらなければ当然損をします。いわゆるスタートアップやベンチャー企業に出資するのに近いと思います。そういう感じだと思っていただければよいです。


出資会社の違いで配信先や制作費に違いはあるのか?

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ーー今回鬼滅の刃のアニメに出資したのが3社、集英社・アニプレックス・ufotableとなっています。ワンピースにはフジテレビというテレビ局が入っていますが、今回テレビ局は入っておらず、顔ぶれが違う印象を受けました。出資会社の違いによって、配信先や制作費などに違いがあるのでしょうか。

テレビ局が入る場合と入らない場合は当然あります。もう1つの特徴は、今回3社でやっている点です。製作委員会というと、普通は5社~10社など、もっとたくさんの会社が出資している場合が多いです。今回の鬼滅の刃の場合は3社だけですし、ワンピースの場合はフジテレビと東映アニメーションの2社だけです。

これはベンチャー企業などの資金調達と同じだと思いますが、しっかりした投資家が確信をもっている場合は、たくさんの人が入ってくると分け前が減るので嫌なんです。投資家の数を減らすということで、3社と少ない会社数になっているのでしょう。

今回の場合、集英社・アニプレックス・ufotableの3社で、自分たちでかなり良いものが作れて、かつ配信・配給できる自信があったので、あえてテレビ局の力を必要としなかったのではないかと思います。

ただ、テレビ局が入っていてくれた方が、テレビで流してもらえる可能性が高くなります。一方で、特定のテレビ局が入ってしまうと、他のキー局列で流しにくくなってしまいます。そうすると製作委員会観点で見ると、機会ロスが発生しますよね。

テレビ局が入っていなくてもテレビで流してもらえる自信があったから、テレビ局はあえて入れなかったとも考えられます。


製作会社アニプレックスが配信権を売っていったのか?

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ーー確かに、今回幅広く様々なテレビ局、インターネット配信サービスで配信されています。これは、製作会社であるアニプレックスが配信権を売っていったという方式になるのでしょうか。

今回の組み方でいうと、おそらくそうでしょう。アニプレックスは元々ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社で、古いものでは「るろうに剣心」などのテレビアニメシリーズを管理している会社です。そういう実績があるので、アニプレックスがテレビ局に放映してもらうように持っていったのではないでしょうか。

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今回の場合、読売テレビやTOKYO MXも載っていて、いわゆるキー局とあまり関係なく配信されています。これが例えばフジテレビが製作委員会に入っていたら、実際なかなかやりにくいと思います。そのため、あえてそうしなかったというのは、全体の収益を増やす意味では良かったのではないでしょうか。

ーーリスクも高いけれど、配信先が増えるとリーチできる視聴者数も増えるので、そういう意味では今回はかなり良い方向に進んだと見れますね。

そうですね。リスクも大きかったと思いますが、おそらく製作委員会側のリターンも大きくなっているはずです。


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・著作権と商標権は両方とも製作委員会が持つのか?
・Netflixの業務提携は日本のアニメ業界にどう影響するか?
・まとめ

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