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Q. ライフネット生命における保険の顧客獲得コスト・生涯顧客価値は?

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A. 顧客獲得コスト(CAC): ●●円、生涯顧客価値(LTV): ●●円

8月11日に発表されたライフネット生命の決算資料が、まさに歴史に残る「神レベル」の決算資料だったので、今回はその内容を取り上げます。ビジネスの見方を変えるだけで、こんなに分かりやすく、違ったビジネスに見えるという典型例となっています。

*ライフネット生命保険株式会社 2020年度 第1四半期 決算説明資料

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まず直近のライフネット生命の動向ですが、海外市場から約90億円という超大型の増資をしています。海外からの新規調達に加え、既存株主による売出しによって調達した約138億円については、業績の成長加速やオンライン活用に向けた成長投資に充てると発表しています。

では、実際に業績を見ていきます。


保険ビジネスで最も重要なKPI

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保険ビジネスにおいて、最も重要なKPIが「年換算保険料」と「保有契約件数」です。

年換算保険料とは、年払いや一括払い、期間中均等支払など様々な支払方法や商品構成がある中で、支払方法の違いを調整し、「契約期間中に平均して支払うと仮定した場合に、生命保険会社が保険契約から 1 年間に得る保険料収入」を示します。

ここで注意したいのが、保険ビジネスは積み上げ(ストック)型のビジネスであるため、四半期当たりのP/L(フロー)だけで見ると見間違えてしまいます。なぜP/Lだけで見てはいけないのかは、保険会社の財務諸表を読み解く肝となる部分なので、後程詳しく説明します。

ライフネット生命の場合、2020年6月時点で年換算保険料が164.6億円、保有契約件数が38.8万件となっており、どちらも前年同期比で120%程度も成長しています。


主要2KPIのコロナ禍での推移は?

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2018年6月に経営陣が交代してから、新規契約件数・年換算保険料ともに、積み上げが加速しています。特にコロナの影響を受ける2020年度第1四半期においては、四半期の過去最高業績を達成しており、前年同期比で年換算保険料が141.9%、新規契約件数が147.2%と驚異的な伸びを見せています。

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さらに、営業費用削減においてもコロナの追い風を受けています。

上の図において、営業費用の金額は2016年度から2019年度までは通期の金額であり、2020年度は第1四半期の金額です。2019年度通期の営業費用を四半期に割り戻してみると1,537百万円となり、2020年度第1四半期の営業費用と同水準となっています。

つまり、新規契約は前年同期比で約140%と大きく伸びた一方で、コストは前年同期と同水準の規模に留まったため、成長と効率の両方を叶えた業績となっています。結果として、第1四半期の1件当たり営業費用は5.3万円と大幅に改善しました。

ここまで、ライフネット生命の好調な業績状況を見てきました。

記事後半では、今回の決算で紹介されたEV(生命保険会社の企業価値を表す指標)の解説や、SaaSでよく使われるユニットエコノミクスで保険ビジネスを見ていきます。

この記事は、ビジネスの見方を変えるとこんなに違って見えるということを体感したい方、SaaSに詳しくなりたい方に最適な内容になっています。 

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・Q. ライフネット生命における保険の顧客獲得コスト・生涯顧客価値は?の答え
・なぜ保険ビジネスを損益計算書(P/L)だけで見てはいけないのか?
・EV(エンベディッド・バリュー)という考え方
・ライフネット生命のビジネスをSaaSビジネス(のように)として見てみると...
・まとめ

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