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Netflixのユーザー獲得コスト・回収期間いえますか?

2017年7月から9月期の決算が徐々に発表されてきています。

全体の傾向としてはアメリカの上場企業の方が日本の上場企業よりも早いタイミングで決算を開示してくる傾向にありますが、その中でも毎回いつも決算の開示が早いのがこのNetflixです。

今日はそのNetflixのユニットエコノミクスについて、特にユーザー(有料会員)の獲得コストとその回収期間を詳細に見ていきたいと思います。

*Netflix Q3_17_Shareholder_Letter_COMBINED.pdf

ユニットエコノミクスの分析は慣れている人にとっては当たり前のことかもしれませんが、いくつか押さえるポイントがあるので読者の方の参考になれば幸いです。


売上成長率はYoY+30%超と絶好調

まずは売上と営業利益を大まかに見ていきます。

四半期当たりの売上高は約$3B(約3,000億円)、前年同期比+30.3%という驚異的なスピードで成長を続けています。

粗利益が$209M(約209億円)、営業利益が$130M(約130億円)となっています。

以前のnoteでも述べている通り、Netflixは現在もコンテンツへの大幅な投資を行っていることもあり、売上の規模感に対して粗利や営業利益がそこまで大きいとは言えない状況にあります。

ネットフリックスが年間6,000億円を自社コンテンツへ投資する理由

上の表のフリーキャッシュフローを見ると営業利益が$130M(約130億円)あるのに対して、フリーキャッシュフローはマイナス$465M(▲約465億円)という具合に、営業黒字でありながら営業利益の3倍を超える額のキャッシュが減っているという状況にあります。


なぜ営業利益は黒字なのに営業キャッシュフローは大きくマイナスなのか?

この「営業黒字でありながらフリーキャッシュフローが大きくマイナスである」という状況をもう少し詳しく見てみたいと思います。

この表はNetflixのキャッシュフローステートメントになります。営業黒字にも関わらずフリーキャッシュフローがマイナスになっている背景がすべてここに出てきています。

・Additions to streaming content assets(コンテンツ投資)に$2.3B(約2,300億円)分の現金を投入(マイナス)
・Amortization of streaming content assets(コンテンツ償却)が$1.6B(約1,600億円)分(プラス)

それ以外の営業活動キャッシュフロー全体で、マイナス$419M(▲約419億円)となっています。

全体のキャッシュフローは前出の決算資料の9ページ目(Consolidated Statements of Cash Flows=連結キャッシュフロー)の「Net increase (decrease) in cash and cash equivalents=現金及び現金同等物の純増加(減少)」にある通り、$172M(約172億円)のマイナスです。

前四半期に、「Proceeds from issuance of debt=債務の発行による収入」という項目で、負債による資金調達を$1.4B(約1,400億円)分行っています。

つまり一言でまとめると、コンテンツへの非常に大規模な投資を行っており、それらは資産計上されているため四半期ごとのP&Lへの影響は限定的ではあるものの、キャッシュが先に出ていく傾向にあるため、営業黒字ではあるもののキャッシュフローがマイナスになるという状況が続いています。

さてこれだけ大規模なコンテンツへの投資を行い続けているNetflixですが、冒頭でも書いたように実際のビジネスはどのようになっているのでしょうか。

以下ではNetflixのユニットエコノミクスをユーザー(有料会員)獲得コストとその回収期間にフォーカスして詳しく見ていきたいと思います。

コンテンツビジネスに携わっている方だけではなく、会員ビジネスに携わっている方、そして継続課金型のビジネスを行っている方にとっても勉強になる内容になっているのではないかと思います。


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