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ついに上場!Xiaomiが見るスマホメーカーの先の世界

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今日は、中国のスマホメーカーXiaomi(シャオミと読みます)が香港市場に登場することになりましたので、Xiaomiのビジネスを詳細に見ていきたいと思います。

上場する予定の市場が香港市場であるため、全ての通貨は中国元で記載されています。この記事では1中国元あたり16円という前提で、日本円と合わせて付記したいと思います。

Xiaomiの上場申請書


Xiaomiとは

ご存知の方も多いかもしれませんが、商品を簡単に紹介したいと思います。

Xiaomiの主力製品は、この図にあるようにスマートフォンです。Androidの独自OSを開発しているだけではなく、ハードウェアとしても、低スペックから高スペックに至るまで、いくつかの種類を販売しているのが特徴です。

スマートフォンだけではなく、IoT 型のデバイスもたくさん販売しています。ここにあるようなスマートスピーカーだけではなく、テレビに接続するためのセットトップボックス、ヘッドフォンなどなど、成長著しいあらゆるスマートデバイスを手掛けている、と考えて間違いありません。


売上・営業利益

売上と営業利益で見てみましょう。

2017年の1年間で、売上は1,146億元(約1兆8,336億円)、粗利益が152億元(約2,432億円)、営業利益が122億元(約1,952億円)となっています。

売上だけ見ても前年と比べて約2倍近いスピードで成長しており、営業外損失を除けば営業利益は十分プラスになっており、営業利益率も10%を超える水準になっています。

セグメントとしてはこの表にあるとおり、大きく3つのセグメントがあります。

1つ目はスマートフォンセグメントで、売上の約70%を占めています。

2つ目はIoTやライフスタイル系のプロダクトで、売上の約20%を占めています。

3つ目はサービスセグメントで、売上の約8.6%を占める規模にまで大きくなっています。

Xiaomiが非常に特徴的な会社であると言えるのは、スマートフォンやIoTプロダクトといったハードウェアだけに注力しているのではなく、ネットサービスや小売まで、幅広く展開している点です。

ハードウェアのビジネスというのは、一旦ハードウェアを売ってしまうとそれ以降、次のデバイスを買ってもらうまで売上が立たないわけですが、Xiaomiの場合は、一度ハードウェアを購入してくれた顧客にソフトウェアサービスを提供することで、収益が上がり続けるモデルになっている、というのが非常に特徴的です。

またハードウェアの販売方法も、Appleを意識しているのかどうかはわかりませんが、オンラインと独自の店舗での販売に注力しています。

この記事では、スマートフォンセグメントとサービスセグメントの2つを詳しく見ていきたいと思います。

なお、Xiaomiの上場目論見書は、スマートフォンの市場に関して非常に詳しいマーケットデータが多く記載されており、その辺のアナリストレポートを読むよりも、とても勉強になる内容になっていますので、そちらも併せて解説していきたいと思います。


スマートフォンセグメント: 超スッキリ!スマホハード市場の現状

まず始めに、スマートフォンセグメントのユニットエコノミクスを見てみましょう。

2017年の1年間で、スマホ1台あたりの平均販売単価が881元(約14,100円)、販売台数が9,141万台でした。

1台あたりの平均単価が、日本やアメリカといったスマホ先進国にいる人たちからすると非常に安い、廉価版の端末を多く販売している印象かと思います。それだけではなく、グローバルに9,000万台以上を販売するという、非常にスケールの大きなビジネスを展開していることが、ご理解頂けると思います。

Xiaomiの上場目論見書の中から、スマートフォンのハードウェア市場に関しての、現時点での様子を勉強していきましょう。これらの数字は、暗記するぐらいの勢いで覚えておいて損はないと個人的には思っています。

スマートフォンのアクティブな台数がここに記載されていますが、Xiaomiの観点で3つのセグメントに分解されてきます。

1つ目は中国、2つ目は新興市場、3つ目はその他、という扱いになっています。

ここで新興市場というのは、アメリカ・日本・中国・西ヨーロッパ・オーストラリア・カナダを除く国のことです。逆の言い方をすると、3つ目のその他というのは、これら先進国のことを指しています。

2017年時点で見ると、中国で約8.9億台、先進国で約8.4億台、新興国で約19億台、このスマホは使われていることになります。年平均成長率(CAGR)を見ると、新興市場が圧倒的に速いスピードで成長していることがここから読み取れます。

この表は人口に対するスマートフォンの普及率で、こちらを見ても、新興市場の伸びしろが大きいことが説明できます。

スマートフォンの販売金額を見てみると、高価格端末が売れやすいためか、先進国が金額面では大きくなっていますが、それでも中国と新興市場を足すと、全く及ばない規模になります。

地域別のスマホ販売価格帯を見てみると、中国では$200(約20,000円)以下の端末が約40%であるのに対し、新興市場では約65%となっており、新興市場攻略のために廉価版の端末を大量生産販売していることが重要であるのは間違いないでしょう。

そんな中、Xiaomiが各地域でどのようなポジションにいるのか、というのを表したのがこちらの図表になります。

Xiaomiはグローバルでは世界第4位のスマホメーカーであり、中国では4位、インドでは1位、新興市場では3位となっています。

下の図がさらに特徴的なのですが、それぞれの地域においてXiaomiは、前年同期比で最も販売台数を増やしたスマホメーカーである、ということが強調されています。

こちらは、中国とインドでのスマホのオンライン販売台数シェアです。

Xiaomiは、スマホをネット販売することに注力していることもあり、中国そしてインドで、最もネットでスマホを販売しているメーカーになります。


サービスセグメント: ハード市場の先にあるネットサービス市場

続いてサービスセグメントを見てみましょう。

全体売上の約8.6%を占めるサービスセグメントですが、その内訳は広告が約56.7%、それ以外の課金型のサービスが約43.3%となっています。

こちらも今日、上場目論見書から全体の市場の様子を詳しく見ていきましょう。

中国におけるネットサービス市場の内訳ですが、大きい順に上から、コマース・広告・ゲーム・ファイナンス・App Store、という順になっています。

主要なネット大企業の顧客獲得コストです。どの会社が具体的にどの会社というのは開示されていませんが、新規にMAUを獲得するのに、$17.5〜$54.1(約1,750円〜5,410円)のコストがかかっていると計算されています。

こちらは、ネット企業のMAUあたりの年間売上です。Xiaomiの場合は、月間アクティブユーザーあたり年間$9.1(約910円)の売上が上がります。

この2つのグラフで説明したいポイントは、

・他のネット企業は、アクティブユーザーを獲得するのに非常に大きなコストを払っているにも関わらず、Xiaomiはスマホを販売することで、アクティブユーザーを獲得しているため、実質的な追加コストは不要であるという点
・一旦スマホを販売すると、そのユーザーから年間追加で毎年$9.1(約910円)ずつ売上が上がるというモデルになっているという点

の2点です。


まとめ

Xiaomiのビジネスの全体像を詳しく見てみました。

Xiaomiを、ハードウェア企業としてだけではなくサービス企業として見ると、ユーザー獲得コストがハードウェアを販売するという行為で代替されており、大きなコストがかからず、さらにそこから中長期的に収益が得られるという、非常にユニークなビジネスモデルになっていると考えられます。

ハードウェアの販売台数の伸びも、前年同期比で3桁近くになっているだけではなく、これからサービスエリアでのマネタイゼーションがどんどん加速していきそうな会社で、今後も注目していきたいと思います。

★広告ビジネスのキホンを学びたい方は、こちらの新著でも詳しく触れています

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