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Q.ついに上場するAirbnbが赤字でも倒産しない理由とは?

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ヒント:Airbnbのビジネスモデルによる、キャッシュサイクルがポイントです。

今日の記事では、ついに上場することが決まったAirbnb(エアービアンドビー)を見ていきます。

Airbnbは2008年にアメリカで設立され、一軒家からホテルまで様々な宿泊所を提供する400万人以上のホストと利用者をマッチングするプラットフォームを提供しています。2020年9月末時点で、220以上の国と地域に展開しています。世界中で「民泊」の浸透に大きな役割を果たしたサービスと言えるでしょう。

コロナ禍で大きな影響を受けている同社ですが、以前から公言していた通り、2020年中に上場することとなりました。

日本の上場申請書にあたるFORM S-1で開示された資料から、コロナ禍で上場を決めたAirbnbの主要指標を見ていきましょう。

Airbnb, Inc. FORM S-1(2020年11月16日)

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2019年の年間売上は、$4.8B(約4,800億円)で前年同期比(YoY)+31.6%、年間の営業利益は、-$502M(▲約502億円)の赤字でした。その前年の2018年はなんと$19M(約19億円)の営業黒字を達成しています。

しかしながら、2019年1月-9月の売上$3.7B(約3,700億円)、営業利益-$174M(▲約174億円)と比較して、コロナの影響を受けた2020年1月-9月の売上は、$2.5B(約2,500億円)、営業利益は-$490M(▲約490億円)と売上は大幅減少、営業利益は大幅に悪化しています。

Airbnbの最重要KPI

Airbnbが重要視しているKPIを、一つだけ挙げるとすれば、それは「宿泊・体験の予約数」(Nights and Experiences Booked)です。

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こちらのおしゃれな写真のような図は、「宿泊・体験の予約数」を表したグラフです。2013年頃から2019年の3.27億回まで指数関数的に右肩上がりで伸びていることがよく分かります。

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こちらのグラフは少し画像が荒いのですが、AirbnbのFORM S-1から引用した「年間の宿泊・体験の予約数」のグラフです。2019年の予約数はYoY+31%で増加しています。

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こちらは「四半期毎の宿泊・体験の予約数」のグラフです。四半期で見ると明らかに2020年の第1四半期(Q1)からコロナの影響で予約数が減少しており、Q3は回復の兆しが見えますが、まだ以前のレベルには戻っていないことが分かります。

Airbnbの2つ目に重要なKPI

Airbnbが次に重要視しているKPIが、「予約総額」(Gross Booking Value, GBV)です。

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2016年以降の予約数と予約総額のYoYの成長は、ほぼ正比例となっています。

       2016年 2017年 2018年 2019年
予約数YoY  +74%, +48%, +35%, +31%
予約総額YoY +73%, +51%, +40%, +29%

Airbnbは利益(EBITDA)が出ているのか?

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売上、予約数や予約額は順調に成長しているAirbnbですが、利益は出ているのでしょうか?上の図は「Adjusted EBITDAを年毎に表したグラフ」です。

Adjusted EBITDAとは、為替の変動などを差し引いた上で、金利・税金・償却費を控除する前の利益を指します。よりキャッシュフローに近く、企業の利益の実態を表す指標となっており、これによると、2017年と2018年は黒字化しています。(米国会計基準で計算された最終利益は赤字となっています。)

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こちらは「四半期毎のAdjusted EBITDAのグラフ」です。毎年Q3(7月−9月)に大きく黒字になっていることが分かります。この時期は夏休みの時期であり、11月末のThanksgivingの休暇や12月中旬からのHolidayシーズンの予約が始まるためだと考えられます。

ここまでは、Airbnbの主要な決算指標や、重要なKPIとして「宿泊・体験の予約数」、「予約総額」の推移などをご紹介してきました。

記事の後半では、赤字でも倒産しない理由の答え、そして、ユニットエコノミクスやその他のKPIについても詳しく見ていきます。

この記事は、Airbnbのビジネスモデルが気になる方、新しい生活様式へのシフトを踏まえたビジネスに関心のある方に最適な内容になっています。

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・Q. Airbnbが赤字でも倒産しない理由とは?の答え
・Airbnbの驚異的なキャッシュフロー経営
・ユニットエコノミクス
・KPIその1: テイクレート
・KPIその2: 1泊あたりの宿泊単価
・KPIその3: 国内宿泊 vs 海外宿泊
・KPIその4: 近距離宿泊 vs 遠距離宿泊
・KPIその5: 主要都市 vs その他の地域
・KPIその6: 短期滞在 vs 長期滞在
・KPIその7: ホストのコホート(継続率)
・KPIその8: 宿泊客のコホート(継続率)

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