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Q. 売上がYoY+62%で成長するラクスルの最大の成長ドライバーは?

Q. 売上がYoY+62%で成長するラクスルの最大の成長ドライバーは?

A. 購入者数。年間購入者数はYoY+25.4%で成長。TV CMを通じての顧客獲得が大成功。(顧客獲得コスト、マーケ費用の回収期間の詳細は後述)

今日の記事では、以前に決算資料がとてもイケているという内容で取り上げたこともある、ラクスル株式会社を取り上げたいと思います。

ラクスル株式会社2019年7月期第2四半期 決算説明会資料

はじめに決算の概要です。売上は四半期あたり40億円を超えてYoY+61.7%、売上総利益が9.86億円でYoY+55.4%と非常に高い成長率を誇っています。

成長率が高いことに加え、売上総利益率=テイクレートが24.2%もあるのが驚異的だと言えます。


事業の多角化の進捗

ラクスルといえば、印刷事業のマーケットプレイスが主力の事業でしたが、印刷事業の中で集客支援を行う「広告サービス」も大きく伸びており、そこに運送事業である「ハコベル」が乗ってくるという形で事業が多角化できていることがよくわかります。

こちらは、運送事業であるハコベルの事業目的を説明したスライドです。運送事業だけではなく、印刷事業も集客支援も全て古くからある業界です。「多重下請け構造など構造的に非効率な業界を狙い撃ちして、ソフトウェアの力で効率化することで急成長している会社」だと見ることができるのではないでしょうか。

元々の業界構造が非効率の塊であるがゆえに、ラクスルは24.2%という非常に大きなテイクレートを取ることができているとも言えるでしょう。


印刷事業の成長要因

以前の記事でも紹介しましたが、ラクスルの決算資料はこのスライドにあるように、KPIがしっかり因数分解された形で公開されていて、とても読みやすく、かつ勉強になります。

ラクスルの場合、

売上 = 顧客数 * 購入回数 * 単価
売上総利益率= function[高付加価値化、原価低減]

という非常にわかりやすい方程式で因数分解されています。

印刷事業のKPIを因数分解した図がこちらになります。最大の成長ドライバーは年間購入者数がYoY+25.4%も増えているという点だと言えるでしょう。

購入者数が増えているだけではなく、年間平均注文回数も+6.8%、平均注文単価も+7.3%と力強い伸びを見せており、これらが掛け算されることで、冒頭で述べたような大きな売上成長に繋がっているというわけです。

このスライドに書かれている通り、集客支援事業であるテレビCMの販売が注文単価増に大きく貢献しているようですが、それだけではなく全ての事業で、全てのKPIでこれだけしっかり成長できるというのは、本当にスゴイ!の一言に尽きます。


運送事業「ハコベル」の成長要因

運送事業ハコベルの成長要因を見てみましょう。

こちらがハコベルのモデルです。軽い貨物を短い距離運ぶハコベルカーゴと比較的大きなトラックで比較的長い距離を運送するハコベルコネクトの2種類が用意されています。それぞれビジネスモデルこそ違いますが、基本的には荷物を運びたい人と荷物を送りたい人のマッチングを行うマーケットプレイス型のビジネスモデルだと言えるでしょう。

2009年に開始した印刷事業と比べると、2015年12月にリリースしたばかりで日が浅い運送事業ですが、このスライドにある通り、注文件数は前年同期比で倍以上。注文単価も+52%と両方の KPIが大きく伸び、結果として掛け算で大きな成長ができているという具合になっています。

ラクスルと言えば自社のサービスをテレビCMで大々的に放映することで認知度が上がり、大きく事業が伸びているという印象があります。

決算の概要を見る限り、顧客数や注文回数、単価など全てのKPIで大きな成長を実現していて、とても合理的なマーケティングに見えます。しかし実際のユニットエコノミクスはどのようになっているのでしょうか?以下ではラクスルの新規顧客の獲得コストとそのマーケティング費用の回収期間を概算してみたいと思います。

(全てのデータが公開されているわけではないので、必ずしも正確な計算ではないかもしれませんが感覚値は十分掴めると思います)

この記事は、マーケットプレイスを担当されている方、ユーザー獲得などのマーケティング系の業務に従事している方、テレビCMを検討されている方に役立つ内容になっています。


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