見出し画像

Q. 業績絶好調のラクスル、注目のダンボール事業と3つのSaaSに注力する理由とは?

新着記事をTwitterでお届けします。下記URLからご登録ください。
Twitter: https://twitter.com/irnote

----------------------------

ヒント:ラクスルは、売上総利益が企業価値に直結する指標と考えています。

この記事はカネコシンジさん(企画・リサーチ担当)と ゆべしさん(ライティング担当)との共同制作です。

先日、ラクスルの2022年7月期1Q(2021年8-10月)の決算が発表されました。ラクスルは2018年に東証マザーズ上場以来、売上は右肩上がりに成長を続けており、今期も好調に推移しています。

ラクスルは、「EC/マーケットプレイス+SaaS」のビジネスモデルを持つ企業で、主力のネット印刷事業(ラクスル事業)に加え、新規事業である物流のシェアリングプラットフォームのハコベル事業や、テレビCM・動画の広告プラットフォームのノバセル事業の成長が著しいです。

また、これらの新規事業に関連して、ラクスルは今後3つのSaaSビジネスに注力する方針を掲げており、今回の決算発表の注目ポイントである「ダンボールワンの完全子会社化」と併せて、更なる成長が期待されています。

この記事では、ラクスルが3つのSaaSビジネスに注力する理由と、話題となっているダンボールワンの完全子会社化がなぜ注目されているのかを解説します。

もし、ラクスルの新規事業であるノバセルやハコベルの成長について興味のある方は、以前書いたこちらの記事をご覧ください。


ラクスルの決算概況(2022年8-10月)

ラクスル株式会社2022年7月期第1四半期決算説明会資料(2021年12月9日)

画像1

ラクスルの2021年8-10月の3ヶ月間の売上は70.1億円(YoY+30.4%)で、通期業績見込みに対する進捗率は21.1%と、好調に推移しています。

一方で、2021年8-10月の営業利益は4,800万円(YoY▲69.9%)と、前年同期から大きくマイナスとなりました。これは、広告宣伝費を中心とした顧客数の増加や認知度向上に向けた積極的投資によるものです。

画像2

次に、事業別の売上は以下の通りで、すべての事業が前年同期比で大きく成長しています。特に、ノバセル事業がYoY+123.2%と急成長しているため、上図のように全体の売上構成比が変化しており、ハコベル事業と併せてラクスル事業に次ぐ収益の柱となりつつあります。

●2021年8-10月のラクスルの事業別売上
(1)ラクスル事業:印刷ECサービスや集客支援のシェアリングプラットフォーム
売上54.6億円(YoY+23.3%)

(2)ノバセル事業:テレビCM・動画の運用型広告プラットフォーム
売上7.2億円(YoY+123.6%)

(3)ハコベル事業:物流のシェアリングプラットフォーム
売上7.4億円(YoY+34.0%)


急成長しているノバセル事業のKPI

画像3

急成長中のノバセル事業のKPIは以下の通りで、全てのKPIが好調に推移しています。特に、月平均単価がYoY+72.1%と、驚異的な成長を遂げています。

●ノバセル事業のKPI
・2020年11月〜2021年10月の年間利用者数:180社(YoY+29.5%)
・平均放映月数:2.16ヶ月(YoY+13.5%)
・月平均単価:1,950万円(YoY+72.1%)

また、機動力高く、柔軟な事業運営の体制構築を目的に、ラクスルは2022年2月にノバセル事業の分社化を発表しました。代表にはラクスルCMOの田部氏が就任する予定で、今後の更なる成長が期待されます。


今回の決算の注目ポイント:ダンボールワンの完全子会社化

画像4

今回(2022年7月期1Q)の決算の注目ポイントは、冒頭でも記載した通り、「ダンボールワンの完全子会社化」です。

ラクスルは、2020年11月末からダンボールワンの株式49%を保有していましたが、2022年2月に追加で株式取得を行い、完全子会社化することを発表しました。

画像5

国内の段ボール市場は約1.8兆円、そのうち国内段ボールECの市場規模は約85億円と推計されています。EC市場が全体に占める割合は1%未満ですが、ダンボールワンはこの市場の50%超のシェアを占めています。

また、2021年7月の経済産業省の調査によると、BtoCの物販系分野のEC市場規模は2013年から成長し続けています。段ボールEC市場はこの成長の恩恵を受ける市場で、CAGRは+30%程度と推計されていることから、今後の市場規模拡大が見込まれる市場です。

画像6

ダンボールワンは、国内シェアNo.1の段ボール・梱包材専門の通販EC事業で、ラクスル事業とビジネスモデルが類似していることが特徴です。

そのため、前述した追い風の市場環境に加え、ダンボールワンの完全子会社化後に、ラクスル事業のノウハウを活かしたPMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)に注力することで、今後のダンボールワンの成長が期待されます。

ここまで、ラクスルの2021年8-10月の好調な決算内容と、特に急成長しているノバセル事業について整理し、今回の決算の注目ポイントであるダンボールワンの完全子会社化について紹介しました。

記事の後半では、ダンボールワンの完全子会社化に注目する理由を決算内容から深掘し、ラクスルが3つのSaaS事業に注力する理由をまとめています。

この記事は、マーケットプレイス型のビジネスに従事している方やSaaSビジネスに関心がある方におすすめの内容となっています。

----------------------------

ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を500円、あるいは、初月無料の有料マガジンをご購入ください。

有料マガジンは、無料期間終了後、月額1,000円となりますが、1ヶ月あたり4〜8本程度の有料ノートが追加されるため、月に2本以上の記事を読む場合には、マガジン購読がお得です。

月末までに解約すれば費用はかかりませんので、お気軽に試してみてください。

有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。

・Q. 業績絶好調のラクスル、注目のダンボール事業と3つのSaaSに注力する理由とは?の答え
・ダンボールワンの業績
・ダンボールワン連結後のラクスルの2021年8-10月の連結決算(試算)
・ラクスルがSaaSビジネスに注力する理由
・ラクスルの3つのSaaSビジネス
・まとめ

続きをみるには

残り 3,123字 / 8画像

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

ツイッターで決算に関する情報を発信しています。ぜひフォローしてください!