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マイクロソフトのクラウド事業Azureが「2番手戦略」でYoY+89%で伸びるワケ

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今日は、マイクロソフトの決算を詳しく見ると共に、同社のクラウド事業であるAzureの急成長の背景を探っていきたいと思います。

最初に結論から申し上げると、Microsoftの最近の決算は絶好調の一言です。それでは詳しく見ていきましょう。

Microsoft Fourth Quarter Fiscal Year 2018 Results

初めに売上と営業利益を見てみます。

売上は四半期あたり$30B(約3兆円)を超え、YoY+17%で成長しました。営業利益は$10.4B(約1兆400億円)を超え、こちらはYoY+35%で成長しています。

このグラフは、過去10年間のマイクロソフトの売上と営業利益率の推移になっていますが、2011年頃までフラットだった売上成長が、その後数年間で大きく拡大傾向になっていることがご覧頂けると思います。

年間売上が1兆円を超えたわけですが、この規模でありながらYoY+17%で成長できている会社というのはそう多くありません。

成長率のスピードとしては、GoogleやAmazonやNetflix、Facebookといったハイテク系の急成長企業に劣らない水準まで、成長率が上がってきていると言ってよいでしょう。

マイクロソフトの決算は、以下の三つのセグメントに分けて開示されていますので、それぞれの概要を見ていきたいと思います。

・BtoB (Productivity and Business Processes)
・BtoC(More Personal Computing)
・クラウド(Intelligent Cloud)


BtoB (Productivity and Business Processes)

1つ目のセグメントは BtoBビジネスです。

先日買収した LinkedInがこのセグメントに含まれるため、LinkedInの決算を見てみましょう。

売上が$1.46B(約1,460億円)と、前年同期の$1.06B(約1,060億円)から大きく成長しています。まだLinkedIn単体では営業赤字が続いていますが、赤字幅が減少しているだけではなく、のれん償却を除いて考えれば黒字化している状況でもあります。

こちらは BtoBビジネスの重要なKPI一覧になります。

マイクロソフトのBtoBビジネスの最大の課題は、Officeのソフトウェアを単体で販売していたものを、クラウド上でのサブスクリプション型にいかに変えていくかという点に尽きるわけです。

これを見ると、Office365の販売数の前年同期比成長率が約30%をキープしているという具合に、「Office のサブスクリプション化」というのは当初想定した以上のペースで順調に進んでいると言って良いのではないでしょうか。

現時点で3,140万人組の継続課金ユーザーが Office 365を利用しており、Officeはここ数年間の間に、世界最大級のクラウド継続課金プラットフォームに変身したと言ってよいでしょう。


BtoC(More Personal Computing)

続いて BtoC ビジネスの概要を見てみましょう。

この表が BtoC ビジネスの主要なKPIを表します。

Windows Proの OEM がYoY +14%と二桁成長になっており、売上ベースで見るとYoY +23%と順調に成長しています。

自社開発のデバイスであるSurfaceの売り上げも、四半期当たり約$1.2B(約1,200億円)と順調に伸びているように見えます。

Xboxのアクティブユーザーは5,700万人となっています。あまり増えていないようにも見えますが、売上ベースで見れば約$2.3B(約2,300億円)と、YoYの$1.6B(約1,600億円)から比べると大きく成長しています。

検索エンジン事業のBingですが、こちらもYoY+17%と、大きな成長を続けています。

BtoC 事業のサマリーとしては、既存のビジネスをしっかり積み上げて、着実な成長をしていると言えるのではないでしょうか。


クラウド(Intelligent Cloud)

最後にクラウドセグメントの概要を見てみましょう。

サーバー製品やクラウドサービスの売上がYoY +26%で伸びている一方で、大企業向けのサービス売上がYoY +8%と、伸びが遅くなっていることが読み取れます。

左下の表をご覧いただきたいのですが、サーバー製品、Cloudサービスの中でも、特に大きな伸びを見せているのはクラウドサービスであるAzureであり、YoY +89%という、とてつもないスピードで成長しています。

このAzureというクラウドサービスは、AmazonのAWSやGoogle Cloudといったサービスと直接競合する、いわゆる非常にレッドオーシャンな状況下にあるわけですが、これだけのスピードで成長しているのは何故なのでしょうか。

今日の記事の後半では、Azureがこれだけのスピードで成長している背景を探っていきたいと思います。

この記事はBtoB型のサービスを提供されている方、AWSなどのクラウドをユーザーとして利用している方、自社のマーケットに明確なナンバーワンプレイヤーがいるという状況で戦略を立てる必要がある方、急成長しているがレッドオーシャンになっているマーケットで戦う必要がある方、に最適な内容となっています。


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