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「ツケ払い」の貸倒率を推計してみた

このnoteでは過去にも「ZOZOTOWNのツケ払い」に関して何度か取り上げてきました。

ZOZOTOWNの「ツケ払い」が凄い件(推計月間●億円も利用)(2017/02/16)

「ツケ払い」の成長率を推定してみたら超が付くほど意外な結果に!?(2017/05/25)

今回はZOZOTOWNの「貸倒率」について推計をしてみたのでご紹介したいと思います。

この分析をしようと思ったのは、複数の読者の方から「ZOZOTOWNの貸付はきちんと回収できているのか?」という質問をいただいたという背景があります。


「ツケ払い」は右肩上がりで成長中

「ツケ払い」のファイナンス部分はZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社ではなく、GMOペイメントゲートウェイ社によって提供されています。

そのGMOペイメントゲートウェイのバランスシート(貸借対照表)を見てみましょう。

*GMOペイメントゲートウェイ株式会社 平成29年9月期第3四半期決算説明会資料(2017/8/1)

流動資産の「未収入金」と流動負債の「未払金」がツケ払い開始前の前年同期と比べて大きく増えていることがお分かりいただける通り、ZOZOTOWNのツケ払いというサービスはGMOペイメントゲートウェイの貸借対照表に非常に大きなインパクトを与えるビジネスになっています。

「GMO後払い」と呼ばれるサービスを利用しているのがツケ払いになるわけですが、この図からわかる通りツケ払いがリリースされた2016年4Q以降、右肩上がりで数字が伸びています。

正確には、「GMO後払い」にはツケ払い以外のサービスも当然含まれているわけですが、このグラフを見る限りかなりの部分をツケ払いが占めているのではないかと考えられます。


GMOペイメントゲートウェイは「与信審査モデル」を確立できているのか?

一つ気になることがあります。

このスライドに

与信審査モデル等のチューニングを継続中

という記載があります。

つまり「GMO後払い」という新しいサービスが十分な顧客データを持つ前に、ZOZOTOWNという非常に規模の大きいクライアントに対してサービスを提供し始めたわけです。

そして、結果として決済処理金額はグラフのように大きく伸びているわけですが、ツケ払いを利用する顧客の中にはクレジットカードを持っていないようなお客も多く含まれていると考えられ、与信審査という意味では非常に難しい審査をせざるを得ないという事情があると思われます。

逆に言えば、そういった顧客層に対してクレジットを提供することで高い金利でお金を貸すことができているわけですが、与信審査を間違うと貸倒率が高くなり、GMOペイメントゲートウェイとしては大きな損失を出しかねません。

このスライドでも前四半期は金融関連事業で損失を出しており、今四半期も過去と比べると黒字化はしたものの以前と比べると営業利益が芳しくないように見えます。それだけではなくこのスライドの中でも、

後払いの「与信審査モデル等の調整」進む

という記載があり、あくまで印象ベースですがGMOペイメントゲートウェイの与信審査モデルはまだ十分確立されていないのではないかという懸念があります。

この後、貸倒率をGMOペイメントゲートウェイの決算資料から推計してみたいと思います。

繰り返しになりますが、ZOZOTOWNのツケ払いというモデルはECとFinTechの融合という意味で非常に興味深いケーススタディだと思います。

EC事業を展開されている方、あるいはFinTech事業を展開されている方にとって非常に勉強になるケースだと思いますので詳細は以下をご覧ください。


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・クレジットカードビジネスの貸倒引当金
・GMO後払い・ツケ払いの想定貸倒率は?

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